「元日や今年もあるぞ大晦日」 

2022年もあっという間に終わろうとしています。

今年はどんな年だったでしょうか。大変な一年をお疲れ様でした。

「晦日」とは月の末日のこと、年の最後の晦日で「大晦日」。一年の罪や穢れを取り払うために神社では「大祓い」が取り行われます。一年の溜まったものを精算し、綺麗な状態で新年を迎えるというのが日本人の価値観のようです。ちなみに昔々、江戸時代の町人たちは一年の掛けの支払いに追われ大晦日は金策に走るというのも風物詩だったようです。

 

「大晦日箱提灯は恐くなし」 という川柳があります。掛けが溜まっている貧乏人は、普段武士が持つ箱提灯より、暮れの時期、掛け取りの弓張り提灯が恐わかった。「大晦日猫はとうとう蹴飛ばされ」、「元日や今年もあるぞ大晦日」。

 

 「睨み返し」という落語のお話、冒頭の一節。掛けの支払いの用意ができず、借金の取り立ての言い訳屋を雇い、睨みつけ脅して取り立てを追い返すというあらすじです。落語の世界にはこういうダメな大人たちがたくさんでて来るわけですが、コンプライアンス的にちょっと・・・みたいな野暮をいう人は一人もいませんし、むしろ噺家さんの素晴らしい語り口に江戸時代の活気に溢れた人間模様を魅せられ、明るい気持ちにさせてくれます。

 「怒り」や「悲しみ」「不幸」というマイナスな感情を表に出すことをなんとなく憚られる社会になってきました。誰の何を気にしているのか、「空気感」で言って良いこと、悪いことの線引きをしてしまっていませんか。ムカつく!悲しい!気に食わない!という感情がもっとカジュアルに表現できるようになったらいいのにと思います。そしてそれを「まぁまぁ」なんていなさずにコミュニケーションのタネにしていきたいですね。

 

 2023年、社会は不条理で不安定な方向に進むばかりですが、理性と憤りを胸に秘め、また一年無事に過ごせますように。

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